精神科救急医療に特化して地域医療の新時代を創る下関病院

医療福祉法人 水の木会 理事長写真

医療法人水の木会には下関病院と萩病院の2病院があり、主に精神科医療に取り組んでいます。精神障害者の特徴として症状が発症した時だけでなく再発した場合などの急性期に、早く治療を開始すればするほど予後がよくなるといわれています。

そこで下関病院では急性期治療病棟を運営していましたが、これをさらに前進させ、平成20年10月より精神科救急病棟(スーパー救急病棟)を設置しました。精神科救急病棟を有している私立の精神科病院は日本全国で19病院しかありません。

救急病棟では精神障害者の急性期治療への取り組みだけでなく、処遇困難障害者への治療的対応までが目標になります。つまり、あらゆる精神障害者の問題解決に取り組むことになります。

このため精神保健指定医(上級精神科医)が365日24時間病院に詰めていますし、看護師は障害者2名に対して1名以上配置されています。さらに当院には精神保健福祉士、作業療法士、心理士などのコメディカル・スタッフが数多く配置されています。

もちろん医療スタッフは人員の充実だけでなく、優秀な人材になれるよう教育をしています。このように多職種の医療スタッフが精神障害者に関わろうとするのには、2つの目的があります。

1つはチーム医療の確立であり、もう1つは治療の流れの構築です。チーム医療は精神科医療の特徴の1つですが、多くの職種のスタッフがいろいろな方面から障害者や家族に関わっていきます(表1)。

チーム医療におけるスタッフの役割(表1)

精神科医師

チーム医療のリーダーとしてチームを指揮します。

看護師

病棟業務のほか、外来・デイケア・訪問看護などあらゆる部署で看護ケアにあたります。

精神保健福祉士

入退院時の相談のほか、各種社会資源・精神保健福祉法の相談も受けます。

作業療法士

作業療法を通して計画的精神科リハビリテーションを行います。

心理士

心理カウンセリングを通して精神療法や家族療法を行います。

薬剤師

調剤業務のほか、服薬指導や薬剤情報の提供を行います。

管理栄養士

栄養指導を通して患者さんの健康維持に努めます。

そのために各医療スタッフは自分の役割を認識すると同時に、各職種間の連携が取れるように訓練されています。(表2)に示しますように精神科の治療方法としては、薬物療法、精神療法、家族療法、精神科リハビリテーションなどがありますが、障害者は自己管理能力やコミュニケーション能力などを上達させ、社会復帰(自立)することになります。

精神科での治療方法(表2)

薬物療法

関係スタッフ:医師・薬剤師・看護師

提供サービス:薬剤の処方、薬剤の主作用と副作用に関する情報、服薬の必要性

期待される効果:身体的側面からの症状の軽減と改善、疾患の理解

精神療法

関係スタッフ:医師・心理士・看護師・作業療法士

提供サービス:個人や集団での心理面接による自己洞察

期待される効果:精神的側面からの症状の改善と緩和、ストレスへの対応方法

家族療法

関係スタッフ:医師・看護師・精神保健福祉士

提供サービス:疾患と症状に対する理解、具体的な対応方法、問題点の整理、家族会を通じての支援

期待される効果:家族関係の改善

精神科リハビリテーション

関係スタッフ:作業療法士・看護師・心理士・管理栄養士・精神保健福祉士

提供サービス:個人または集団における自己管理能力や、コミュニケーション能力および生活技能等の訓練

期待される効果:自己管理能力の向上、対人関係の構築、社会生活技術の獲得

病棟機能と治療の流れ(図1)

病棟フロー図

さらに精神科救急病棟を導入することにより、図示(図1)しましたように病棟の機能区分や治療の流れが明確になりました。救急病棟では症状の軽減と安定を図ります。次の閉鎖病棟では短期間の休息をした後に、自立に向けての精神科リハビリテーションの準備をします。

その次の開放病棟では退院後の目標を定め、どのような形で社会復帰するのかを検討すると同時に、自立するためのリハビリテーションを積極的に行います。そして治療の流れの最終章は、地域生活への復帰であり適応でありますが、一般的には外来ということになります。

このように、救急病棟→閉鎖病棟→開放病棟→外来という基本的な治療の流れを作ることで、どこまで治療が進んでいるのかを障害者も医療スタッフも知ることができますし、情報を共有することができます。

これから下関病院では、障害者の皆様およびご家族の皆様と我々医療スタッフとが一丸となって、新しい精神科医療に取り組んでいきたいと思っています。今後とも皆様のご指導とご鞭撻を、よろしくお願い申し上げます。

院長 水木 寛