認知症の薬を使用することによって、生活上の混乱や葛藤が軽減できる可能性はあります。また、不安や不眠に対する薬物治療(安定薬や睡眠薬など)も確かに一定の効果はあると思います。しかし、「認知症」という病気だけが、その人の発言や行動の全てを決めるわけではありません。
 例えば、肺炎にかかったり、十分に食べることができず栄養不良になっているような身体の調子の悪さがあると、一見もの忘れが悪化したような状態になることがあります。このような状態に対して認知症の薬を用いるのは、少しずれているかもしれません。身体の調子を整えることが優先されるでしょう。糖尿病のコントロールが悪い場合でも認知機能が低下する場合があります。
 また、気分が沈み込んだ、あるいは激しく攻撃的となってしまう背景に、周りから何度も失敗を指摘された、できないことを何度もさせられたということがあるかもしれません。薬だけでなく、気持ちやその人の生活環境に目を向けることがとても大切となってくるかと思います。

 認知症の症状に変化があった場合は、身体の状態(痛み、痒み、便秘、暑い、寒い、不眠等)、取り巻く環境の変化(転居、同居、入院、入所、デイ利用開始等)、気持ちの有り様(嫌なことを言われた等)にも目を向けることはとても大切です。

また、こうして欲しい、こうしたい、これは嫌だ、と思っても、認知症の人はうまく言葉に出ない場合もあるかもしれません。その要望・欲求が叶えられない時、周りからみると、”困った”行動として何かが現れるかもしれません。周りの人たちには、色々と想像することが求められてきます。そして、相談することも大切です。

認知症以外の大切さについて